老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
原著
8週間の「ブクブクうがい運動」による高齢者の口唇閉鎖力への効果:クラスター割り付けクロスオーバー比較試験
村永 香織辻 大士
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 40 巻 3 号 p. 167-177

詳細
抄録

 口腔機能の一つである口唇閉鎖力は加齢とともに低下する。本研究は,高齢者に対する8週間の「ブクブクうがい運動」が口唇閉鎖力に与える効果を,クラスター割り付けクロスオーバー比較試験で検証することを目的とした。

 対象は,都内在住の65歳以上の地域在住高齢者36名(平均年齢77.3歳)と高齢者施設入所者35名(平均年齢89.6歳)で,2024年5月から10月にかけて調査した。介入プログラムは1回1分のブクブクうがい運動を1日2回,8週間行うこととし,対照群は運動なしとした。研究デザインは,4週間のWash-out期間を挟んで介入群と対照群を入れ替えるクラスター割り付けクロスオーバーデザインとした。ベースライン測定から4週間ごとに口唇閉鎖力を測定し,その変化について,運動を割り付けた群によるシークエンスの違い,介入時期の違い,介入と対照の違いを混合効果モデルで検討した。地域在住高齢者の口唇閉鎖力は,有意な介入の効果が確認され(p<0.001),対照に比べて介入の口唇閉鎖力の変化量は5.3 N大きかった。高齢者施設入所者においても,介入により対照時よりも3.1 N口唇閉鎖力が増大し,有意に口唇閉鎖力が向上した(p<0.001)。本結果より,「ブクブクうがい運動」は,高齢者の口唇閉鎖力を有意に向上させる簡便な介入手段であり,口腔機能の改善やオーラルフレイル予防に寄与する可能性が示された。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top