老年歯科医学
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寝たきり老人入院下歯科治療における問題点
特徴的な症例から
塚越 完子大曽根 洋小林 茂勝
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1992 年 7 巻 1 号 p. 56-61

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抄録
都立墨東病院歯科に入院して歯科治療を受けたいわゆる寝たきり老人11名 (13例) について検討し, その問題点と対策について考察し, 特徴的な3症例を呈示した。
1. 寝たきり老人は, 合併疾患が多く, 歯科入院前に全身状態の正確な情報を得ることが困難であった。
2. 入院による環境変化によって情緒不安定となり合併疾患の増悪を生じる症例もあった。
3. 高齢であること, 寝たきりであること, あるいは痴呆の合併があることなどにより, 入院中の歯科処置内容に制限が生じた。
4. 入院歯科処置を名目に他科疾患の治療も目的として入院する症例があった。
これらの問題点の解決のたあには, 寝たきり老人のたあの地域歯科における次ステムの整備 (1.2.3.次医療機関の整備) とその有効利用, 内科主治医, 地区歯科医師, 病院歯科医師とが密な連絡を取ることのできるシステムの確立, 寝たきり老人のたあの歯科治療学の向上が重要と思われた。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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