老年歯科医学
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7 巻, 1 号
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  • 平岡 昌和
    1992 年 7 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 下山 和弘, 小川 仲子, 海野 雅浩, 長尾 正憲, 小田切 一浩
    1992 年 7 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホームや老人病院などでは, 洗面所などに置き忘れられた義歯の所有者を探すことは介護職員や看護職員にとって困難といわれている。我が国では, 義歯に名前を入れ所有者を示すことは一般的に行われていない。そこで高齢者歯科医療におけるデンチャー・マーキングの普及度および必要性を知るために, 特別養護老人ホーム8施設, 老人保健施設2施設および老人病院2施設において介護職員, 看護職員67名 (男性10名, 女性54名, 不明3名) を対象にデンチャー・マーキングに関する調査を行った。介護職員や看護職員の経験年数は平均9.9年であった。デンチャー・マーキングが行われていた施設は1施設のみであり, デンチャー・マーキングは一般的には行われていなかった。義歯の所有者を探すのに困った経験をもつ職員は82%であった。デンチャー・マーキングの必要性はいつも, しばしば, とぎどき感じている職員は84%であった。デンチャー・マーキングを奨めるかについては, ある程度奨めるとの回答が55%と多かった。義歯所有者は義歯に名前を入れることを嫌がらないとの回答が55%, 義歯に名前を入れることをかなりの人が希望するとの回答が49%と多かった。以上の結果より, 介護職員や看護職員の多くはデンチャー・マーキングの必要性を認めていると考えられる。デンチャー・マーキングは高齢者歯科医療においては是非実施すべきものと考える。
  • 施設へのアンケート調査より
    植松 宏, 梅崎 伸子
    1992 年 7 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    埼玉県内の全特別養護老人ホーム70ヵ所を対象に郵送にてアンケート調査を行い, 55ヵ所 (78.6%) から回答を得た。これら55施設の入所者数は計3, 396人で, 年齢層は80歳代が最も多く, 女性が全体の71.7%を占めた。施設の職員として介護にあたる寮母は平均して入所者4人に1人以下であり, 介護のマンパワーが不足していた。
    入所者のADLの状態は移動, 食事, 整容に分けると, 歯磨きを含む整容動作が最も自立度が低く, 完全に自立している人は40%以下であった。
    歯科の問題で困ることは義歯の不適合が最も多く, 1施設あたり6.7人であった。これに次ぐ歯痛の訴えは1施設あたり月平均3.2件で, 摂食障害の問題を挙げた施設も8ヵ所あった。入所者の歯科検診が実施されている施設は6ヵ所にすぎず, 口腔内の状態の把握は不十分であった。歯科の痛みを訴えた時は, 「歯科を受診させる」が61.9%で最も多かったが, 「施設にある薬で抑える」との回答も28.6%あった。「歯科医師の往診を依頼する」というのは9.5%と少なかった。
    歯科医療体制の整備に関する要望としては, 往診, 常時受け入れてくれる歯科診療所, 専門的な歯科医療機関の設置, 患者の歯科診療所までの搬送システムの充実など, 歯科受診を容易にする為の方策に関する要望が中心であった。さらに, 歯科衛生士に日常の口腔衛生管理を依頼したいとの要望もあり, 現状のままでよいとの回答は10%以下であった。
  • 石田 鉄光, 鈴木 章, 村松 慶一, 渡邊 徹也, 伊藤 英俊, 菊谷 武, 稲葉 繁
    1992 年 7 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    歯科疾患の大部分を占める齲蝕と歯周病は, 口腔内常在菌による感染症であることが周知の事実である。しかし, 現状では入院患者に対しての管理が, 口腔衛生管理まで行き届いていないように思える。特に長期間入院している高齢患者において, 口腔衛生管理は感染症の予防, 精神衛生上の問題からも重要である。そこで, 今回我々は老人施設や老人病院において実際に入院患者の看護にあたっている人達が, 口腔衛生管理についてどのように考え, また入院患者に対してどのような口腔衛生管理を行っているかを知る目的でアンケート調査を実施した。
    配布アンケート120部中90部が回収された。アンケート回答者の平均年齢は32.5歳, 平均経験年数は7.5年であった。この中で, 口腔衛生教育経験のある人は60名, 無い人が30名であった。今回の調査では, ほとんどの看護者が入院患者に対する口腔衛生管理は重要であると考えてはいるものの, 実際には入院患者に対する口腔衛生管理は不十分であるように思われた。
  • 面接調査と口腔内所見
    金子 充人, 関口 基, 砂川 豊, 伊藤 卓, 大木 保秀, 喜多詰 規雄, 後藤 佳文, 白鳥 修, 土田 和由, 湯浅 太郎, 杉原 ...
    1992 年 7 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    千葉市は年々人口が大幅に増加しており, 在宅要介護老人も平成元年には835人を数えている。そして平成5年度より在宅要介護老人歯科診療がスタートすることになっているが, 今回千葉市内の在宅要介護老人の口腔内状況を把握する目的でこの実態調査を行った。
    調査対象には, 千葉市寝たきり老人訪問事業の対象となっている835名のなかから50名を抽出した。調査は1.介護及び全身の状態に関する面接調査 (保健婦) 2.口腔保健に関する面接調査 (歯科医師) 3.歯科医師による口腔診査と歯科診療に対する希望の調査とからなる。
    被検者の年齢は54-93歳, 平均78.5歳。66%が3年以上寝たきりで, その原因は半数近くが脳血管疾患であった。口腔内の状況としては, 66%が過去5年間一度も歯科治療を受けておらず, 全被検者の32%が義歯の不調を訴えており, 義歯保有者中では現義歯に対する満足度は上顎で52%, 下顎で41%であり, 義歯の適合性については52%が要治療と判定された。口腔内の検診では残存歯数は平均6.9歯 (上顎2.8歯下顎4.1歯) で, 歯種では犬歯の残存率が高かった。歯科診療希望の調査では本人・介護者とも40%以上が診療を希望していたが, 希望しないとの回答者中にはその理由を通院手段の問題とするものや, あきらめを表明するものが多数見られた。歯科医の判定では要治療者の79%が通院歯科治療が可能であり, センター方式の診療システムにとって搬送手段の確保が必須であることが示唆された。
  • 入院患者の口腔内状況と歯科治療に対する意識
    小川 仲子, 下山 和弘, 長尾 正憲, 寺岡 加代
    1992 年 7 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    老人病院では, 口腔ケアは関係者の個人的な自覚と努力に任されている場合が多い。入院患者に口腔のトラブルがあっても身体的な不自由さから施設外の歯科医療機関を受診することは困難である。
    老人病院における口腔ケアを考えるために, 入院患者の歯科治療に対して歯科を併設して取り組んでいる大宮共立病院で入院患者の口腔内の状況と歯科治療に対する意識の調査を行った。調査対象は入院患者34名, 平均年齢79歳であった。口腔内診査の結果, 治療が必要思われる28名のうち治療希望は4名であった。治療の必要性と希望の乖離の原因としては, 家族や介護者に迷惑をかけたくないという思い, 今までの治療経験に起因する諦め, 歯科医療従事者と高齢者との間の特に「噛む」ことに対する評価の違い等が考えられる。病院に歯科があることは, 第一に医療, 介護に歯科的な視点が加えられること, 第二に患者の潜在的な治療要求を掘り起こさせるということにより, この乖離を減少させることに資するであろう。口腔内の清掃状況は評価良が義歯では10名, 残存歯では4名であった。口腔ケアについては看護職員, 介護職員の参加が重要である。高齢者の口腔内は種々の要因により清掃が難しく, 看護職員, 介護職員は困難さを感じている。口腔ケアの重要性を認識してもらうとともに負担にならずにできるように援助, 協力していくことが重要であろう。
  • 木田 正芳, 澤田 孝紀, 杉村 光隆, 甲斐 景子, 秋田 光寛, 広田 康晃, 清光 義隆, 渋谷 徹, 松浦 英夫
    1992 年 7 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    高齢化社会の到来とともに老年者の医療に対する関心の高まりは, 単に医学にとどまらず, あらゆる分野に及んでいる。したがって, 老年歯科領域においても, 老人の健康を保っ意味で歯科医療の役割は重要なものと考えられる。その際, 口腔領域の老化現象を全身と切り離して論じたり, またこれを全身の一部と見なす場合も, これを身体的なものと精神的なものとに分けて論ずることは不可能と思われる。そこで我々は, 養護老人ホームの入所者80名に対し, 口腔内診査および調査を行い, その結果と身体的・精神的背景との関係について検討を行い, 次の結論を得た。
    1) 老人性痴呆の進行に伴い, 生き甲斐および咀嚼能率の低下が認められた。
    2) 内科疾患を有する者, 特に心疾患群では, 口腔内ケアーが放置されているケースが多かった。しかし, 咀嚼能率は高い傾向が認められた。
    3) 機能障害を伴う者, 特に脳血管障害後遺症群では, 口腔内ケアーが放置されている場合が多く, さらに, 咀嚼能率の低下も認められた。
    4) 未処置の残存歯を有する者は, 機能障害の無い場合よりも, 機能障害の有る場合に多く認められた。
  • 病院歯科開設より1年間
    平山 丈二, 頴原 俊一, 頴原 健, 早津 良和, 篠崎 文彦
    1992 年 7 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    急速な高齢化社会の到来により, 老人に対する歯科医療の必要性が高まっている。現在日本にある老人病院の中で歯科診療設備を有し, 入院患者の口腔管理を積極的に行っている病院は少ないのが現状である。
    武久病院は, 山口県下関市において昭和30年に開院し, 現在, 内科, 循環器科, 歯科が置かれ, 病床数506床である関連施設として, 老人保険施設青海荘 (定床100), 特別養護老人ホーム寿海荘 (定床130), 軽費老人ホーム福海苑 (定床100) が設置されている。歯科は平成2年8月に設置された。
    今回われわれは, 当病院歯科が開設された平成2年8月より平成3年7月までの1年間に当科を受診した患者262名, および検診を実施した入院患者334名について検討した。また病院職員に対して, 基礎的な歯学教育を行い, 口腔衛生管理の重要性を説明し, 義歯の管理をはじめ, 食事指導, 栄養指導等の講義を行った。
  • 特徴的な症例から
    塚越 完子, 大曽根 洋, 小林 茂勝
    1992 年 7 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    都立墨東病院歯科に入院して歯科治療を受けたいわゆる寝たきり老人11名 (13例) について検討し, その問題点と対策について考察し, 特徴的な3症例を呈示した。
    1. 寝たきり老人は, 合併疾患が多く, 歯科入院前に全身状態の正確な情報を得ることが困難であった。
    2. 入院による環境変化によって情緒不安定となり合併疾患の増悪を生じる症例もあった。
    3. 高齢であること, 寝たきりであること, あるいは痴呆の合併があることなどにより, 入院中の歯科処置内容に制限が生じた。
    4. 入院歯科処置を名目に他科疾患の治療も目的として入院する症例があった。
    これらの問題点の解決のたあには, 寝たきり老人のたあの地域歯科における次ステムの整備 (1.2.3.次医療機関の整備) とその有効利用, 内科主治医, 地区歯科医師, 病院歯科医師とが密な連絡を取ることのできるシステムの確立, 寝たきり老人のたあの歯科治療学の向上が重要と思われた。
  • 藤本 和久, 玉城 廣保
    1992 年 7 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    69歳女性の左側に生じた鼻歯槽嚢胞の1例を経験したので, その概要を報告する。症例: 69歳, 女性。初診: 平成元年6月26日。主訴: 1部歯肉の腫脹。既往歴: 高血圧, 糖尿病にて内服治療中, 36歳時に卵巣嚢腫の手術を受けた。家族歴: 特記すべき事項なし。現病歴: 初診の約1ヵ月前に左側鼻翼基部に無痛性の腫脹を気付くも放置する。5日前より, 同部の腫脹が著明になり某歯科医院より当科を紹介され来院する。現症: 顔貌には, 左側鼻翼基部および, 左側鼻孔底部に軽度の圧痛を伴ったび慢性の腫脹がみられ鼻唇溝はやや不明瞭であり, 鼻前庭部にわずかの腫脹を認めた。口腔内所見では, 1-3部相当の歯肉唇移行部に大豆大の腫脹がみられ, 波動を触知した。X線写真所見: オルソパントモ, 口内法では骨に異常所見は認められなかった。処置および経過: 鼻歯槽嚢胞の臨床診断のもとに, 局麻下で嚢胞摘出術を施行した。
    現在, 術後2年2ヵ月経過し経過良好である。病理組織所見: 嚢胞壁は厚い線維性結合織よりなり, その中に, 拡張血管, 小円形細胞の浸潤をみた。裏装上皮は, 多列繊毛上皮であった。病理組織診断: 鼻歯槽嚢胞。
  • 増田 晃司, 大須賀 伸二, 佐々木 江美, 伊藤 靖人, 宇佐美 雄司, 伊藤 正夫, 上田 実, 金田 敏郎
    1992 年 7 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    1982年6月から1991年5月までの10年間に名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科に入院して治療を行った65歳以上の顎顔面骨骨折患者を対象にその実態について検討した。対象となった老年顎顔面骨骨折入院患者は8例 (男性6例, 女性2例) であった。年齢は65歳から85歳にわたっていた (平均71.6歳) 。観血的整復術を施行した症例は5例, 非観血的処置を施行した症例は3例であった。骨折部位は上下顎骨骨折2例, 上顎骨骨折1例, 下顎骨骨折4例, 頬骨骨折1例であった。受傷原因は転倒5例, 交通事故1例, 作業中の事故は2例であった。なお, すべての症例に基礎疾患の合併を認め, 多数歯欠損症例が多かったため, その処置と固定に際して苦渋した。多様な病態を示す老年顎顔面骨骨折患者の診療を考察し報告する。
  • 眞木 吉信
    1992 年 7 巻 1 号 p. 72-74
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 榊原 悠紀田郎
    1992 年 7 巻 1 号 p. preface1
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
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