日本消化器がん検診学会雑誌
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症例報告
胃X線検診10時間後に発症したバリウム虫垂炎の1例
満崎 克彦福永 久美坂本 祐二菅 守隆吉田 健一工藤 康一神尾 多喜浩
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2019 年 57 巻 3 号 p. 367-373

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抄録

症例は41歳 男性。胃X線検診を受診し, 検査10時間後より臍周囲の痛みを自覚し, その痛みが持続し増強してきたため当院救急外来を受診。受診時には右下腹部の圧痛および反跳痛・筋性防御を認めた。血液生化学検査では, 白血球14800/μl, CRP6.98mg/dlと中等度の炎症所見を認めた。腹部単純CT検査では虫垂に充満するバリウムと周囲に漏出したバリウムを認め, 虫垂周囲脂肪織の濃度上昇も認められた。身体所見, 血液検査所見およびCT所見からバリウムによる急性虫垂炎の診断で, 腹腔鏡下虫垂切除術が施行された。虫垂は腫大し, 虫垂間膜に膿瘍を形成し限局性腹膜炎を併発していた。第5病日に退院となった。バリウム虫垂炎は, 頻度は低いものの検診従事者が認識すべき偶発症であり, 胃X線検診後の急性腹症ではバリウム虫垂炎の可能性を考慮することが重要である。

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© 2019 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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