2020 年 58 巻 3 号 p. 280-286
症例は68歳男性。特に症状は無かったが,検診目的の大腸内視鏡検査を希望され来院した。検査の結果,虫垂孔に腫瘍性病変を認め,内視鏡的には虫垂腺腫と診断した。しかし追加で施行したPET-CT検査で同部位に異常集積を認め,腺腫内腺癌を疑い虫垂切除術を施行した。切除標本の病理組織は高分化型腺癌であった。原発性虫垂癌は特異的な症状が無く,発見時には進行癌の状態であることが少なくない。本症例は当初腺腫と診断されたが,大腸内視鏡検査にPET-CT検査を追加することで術前に癌を疑い,外科的根治術が可能であった。消化器がん検診における診断のgold standardは内視鏡検査であるが,PET-CT検査など他の画像検査を組み合わせて診断に導く必要性も考慮すべきである。