【目的】内視鏡検査の精度向上のため,偽陰性胃癌の要因について明らかにすること。
【対象と方法】2011年4月から2017年3月に当センターにて診断された胃癌1,088病変のうち,3年以内に内視鏡検査歴のある211病変を偽陰性例と定義し,臨床病理学的特徴を検討した。また粘膜下層以深癌の内視鏡画像から,偽陰性となった要因を分析した。
【結果】対象は平均年齢70±6歳,男性168女性43,U/M/L領域:45/102/64,平均腫瘍径15±13 mm,深達度M/SM1/SM2-3/MP/SS/SE:161/19/21/6/3/1であり,偽陰性例早期癌率95.7%,粘膜内癌率76.3%であった。検査間隔1年以内/1-2年/2-3年では早期癌率99.1/97.1/73.1%,粘膜内癌率81.2/76.4/53.8%であり,検査間隔2-3年で有意に低率であった。U/M/L領域別では早期癌率88.9/97.1/98.4%,粘膜内癌率51.1/82.4/84.4%と,U領域で有意に低率であった。粘膜下層以深癌50病変の前回内視鏡画像から偽陰性となった要因を分析すると,観察不良8,拾い上げ診断不良20,診断困難22病変であった。U領域では観察不良5病変,急速発育し診断困難11病変と多く,丁寧な観察と軽微な所見の拾い上げが重要であった。
【結語】内視鏡検査の精度向上のためには,網羅性が高く画質が良好な観察撮影にて発見された胃癌症例を分析し,観察診断能力を常に向上させていくことが重要である。