日本消化器集団検診学会雑誌
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腹部超音波検診にて発見され診断に苦慮した後腹膜平滑筋肉腫の1例
西 潤子土亀 直俊高橋 睦正
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2000 年 38 巻 6 号 p. 704-708

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抄録
例は59才女性。 平成4年に超音波検診にて右副腎部に腫瘤を指摘されていたが近医受診後放置していた。3年後再び検診にて腫瘤を指摘され来院した。腹部超音波検査上, 右腎上極から肝右葉背側にacoustic shadowを伴う均一な低エコー腫瘤を認めた。CTでは境界明瞭で内部不均一な充実性腫瘤を認め, 右副腎は同定されず腫瘤辺縁から周囲に著明な石灰化を認めた。 MRI上肝に比しT1強調にて低信号をT2強調にて不均一な高信号を呈し, dynamicstudy上不均一に強く造影された。 血管造影にては下副腎動脈からの血流分布が認められ右副腎由来の腫瘍を考え手術した。腫瘍は腎周囲腔にびまん性に広がり正常の副腎は頭側に圧排され僅かに残っていた。免疫染色にて平滑筋肉腫と診断された。後腹膜腫瘍は無症状であることが多く発見遅れがちであるが, 無症状のうちに発見し得る超音波集団検診は有用であり報告した。
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