日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
症例報告
ドセタキセルとゲムシタビンの併用療法が著効した進行近位型類上皮肉腫の1例
重川 公弥朴 鐘明田崎 慎吾那須 洋紀勝田 隆博田崎 和人寺田 貴武西尾 真真田 咲子牛嶋 公生津田 尚武
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2024 年 42 巻 2 号 p. 214-221

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抄録

概要:類上皮肉腫は稀な軟部組織肉腫で,近位型と遠位型に分類される.今回我々は,初回化学療法が著効したダグラス窩に発生した近位型類上皮肉腫の1例を経験したので報告する.症例は39歳,2妊2産.第2子分娩10カ月後に臀部痛を主訴に近医を受診し,経腟超音波断層法でダグラス窩に腫瘤を指摘された.その後の精査でダグラス窩に腫瘤性病変があり,多発肝転移,腹膜播種,横隔膜播種を認めたため,腹腔鏡下に大網の播種病変を生検した.病理組織学的に結合性に乏しい腫瘍細胞が密にシート状に配列し,ラブドイド様の細胞がみられた.免疫組織化学でINI1の完全欠失を認めたことから,近位型類上皮肉腫と診断した.がん遺伝子パネル検査で,SMARCB1/INI1の欠損を認めたことからも類上皮肉腫の診断の裏付けとなった.ドセタキセルとゲムシタビンの併用療法が完全奏効し,無病状態となった.

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