日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
症例報告
PS不良な化学療法抵抗性子宮体癌においてペムブロリズマブ単剤療法による Lazarus型反応を示した1症例
渡邊 碧首藤 聡子橋本 大樹山口 正博川端 公輔箱山 聖子早貸 幸辰平山 恵美
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2023 年 42 巻 3 号 p. 263-271

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抄録

概要:Lazarus型反応は,PS不良な終末期患者において,免疫チェックポイント阻害薬などが著効し全身状態が急速に改善することを指す.今回我々はPS不良な化学療法抵抗性子宮体癌においてペムブロリズマブ単剤投与が著効しPSの改善と寛解を得て,Lazarus型反応と考えられる症例を経験したので報告する.症例は43歳女性,0妊.特記すべき既往歴・合併症なし.過多月経・月経困難症のため当院初診.画像上子宮体部に主座を持ち子宮頸部に進展する腫瘍を認めた.子宮内膜組織診は類内膜癌Grade 3であり,高位傍大動脈リンパ節転移を認め子宮体癌IIIC2期と診断した.術前化学療法としてパクリタキセル・カルボプラチン療法を施行したが腫瘍は縮小せず,腫瘍減量手術,術後化学療法を施行するが病勢は増悪,骨盤壁への腫瘍浸潤による癌性疼痛のためPS 4に陥った.患者はベストサポーティブケアへの方針転換を希望せず腫瘍がミスマッチ修復機能欠損であったためペムブロリズマブ投与を開始した.免疫関連副作用へのステロイド投与と癌性疼痛,全身状態の管理下に3コース目の治療後PSの劇的改善を認めた.現在患者はP S0, 寛解を維持している.

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© 2023 日本婦人科腫瘍学会
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