日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
症例報告
オラパリブが有効であったBRCA2病的バリアント陽性癌肉腫の一例
加藤 じゅん桝本 咲子成之坊 果代小林 寛人堀 芳秋田中 政彰
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 42 巻 3 号 p. 272-277

詳細
抄録

概要:癌肉腫は癌腫成分と肉腫成分からなる稀な悪性腫瘍である.近年,肉腫成分は癌腫成分を起源として発生すると考えられている.癌肉腫には明確に確立された治療法はなく,予後は不良である.

我々は漿液性卵管上皮内癌(STIC)と大網癌肉腫が共存した症例を経験した.取扱い規約に従い,STICが原発巣となって大網に転移したものと判断した.患者はBRCA2病的バリアント保持者であった.ドセタキセル及びカルボプラチンによる術後補助化学療法の後,オラパリブによる維持療法を24カ月継続し,再発なく順調な経過を辿っている.オラパリブはBRCA病的バリアント陽性癌肉腫の治療に有効である可能性がある.

著者関連情報
© 2023 日本婦人科腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top