保健医療社会学論集
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原著
HIV陽性者の生存への希望はいかに育まれてきたのか——1990年代SHIP Newsletterのヘルスリテラシー向上のための取りくみとGIPA——
大島 岳
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2020 年 31 巻 1 号 p. 62-72

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抄録

世界のエイズ対策の基本原則Greater Involvement of People Living with HIV(GIPA)が日本で遵守されてきたとは言い難い。本稿は、1990年代のHIV陽性者の生存への希望が培われた取り組みをGIPA原則から検討することを目的とする。結果、生存や生活に関する情報にアクセス困難な中で、ピアサポートや医療情報誌の協働作成など、希望を模索したヘルスリテラシー向上のための取り組みの生起が明らかとなった。これらは、①病いの経験が隔離される危機を乗り越えるための、②情報だけでなく生活の悩みや感情の共有を通じた場全体に智慧が蓄積されるケイパビリティ向上であり、そして③サービスの受け手である患者としてではなく他者をケアする担い手である市民として貢献する新しい社会運動であったと言える。今後は「慢性の病いと共に生きる者の積極的な関与」原則と体制の整備が求められる。

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© 2020 日本保健医療社会学会
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