遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
乳腺外科外来における遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)一次拾い上げと遺伝カウンセリング体制の実態
野間 翠 尾﨑 慎治板本 敏行土井 美帆子橋本 美千代原 鐵晃
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 1 号 p. 12-15

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抄録

遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療において,乳癌診療ガイドラインの改訂やPARP阻害薬の導入に伴い一般病院においてもBRCA検査の説明と実施が求められることが想定されるため,県立広島病院では2018年より遺伝子診察室を開設した.それに伴い乳腺外科外来で一次拾い上げを開始したため,遺伝カウンセリングに対する影響の現状と今後の課題について検討する.

乳腺外科外来ではNCCNガイドラインを基に対象症例に一次拾い上げを行い情報を提供,希望者には臨床遺伝専門医・主治医・がん看護認定看護師の同席のもと遺伝カウンセリングを実施した.

全乳癌手術症例のうち一次拾い上げの対象は20%程度であるが,その中でも実際に遺伝カウンセリングを希望するのは現時点では10%以下であった.今後はHBOCの診療体制が保険診療となり,遺伝カウンセリング,遺伝学的検査の件数はさらに増加することが予測され,遺伝カウンセリング体制の安定した運営が今後の課題としてあげられる.

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© 2021 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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