抄録
間伐遅れのヒノキ人工林では,下層植生の衰退による林床の裸地化と表土の流亡が指摘されており,下流の河川環境におよぼす影響が懸念される.人工林の間伐遅れのように,人為的な要因が流域の水土砂流出に及ぼす影響を評価するためには,モニタリングによって現在進行している水土砂流出のプロセスを解明することに加え,流域の環境変動履歴を推定することが重要である.流域からの土砂が集積した湖沼堆積物には,流域の環境変動の情報が記録されているので,流域の環境変動履歴を推定する手掛かりとして利用できる.そこで本研究では,ヒノキ人工林流域の侵食履歴と侵食速度を推定することを目的として,流域末端の貯水池で堆積物柱状試料を採取し,放射性降下物セシウム137(Cs-137)と過剰鉛210(Pb-210ex)による堆積年代推定を行った.