抄録
人工呼吸患者管理において鎮静深度のコントロールは非常に重要であり,そのためのツールは信頼性,妥当性に富み,使用が容易でなければならない。現在,主観的な鎮静スケールが多く使用され,Ramsay Scale,Sedation-Agitation Scale(SAS),Motor Activity Assessment Scale(MAAS),Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)が,成人患者に対して用いられる代表的なスケールである。本解説ではそれら4つのスケールに関し,文献を用いて総合的に検討した。Ramsay Scaleは古く,現在でも広く使用されているが,妥当性の検討は限られており不穏のスケーリングができないため,現在のICU管理には適さない。SAS,MAAS,RASSは不穏のスケーリングが可能であり,いずれも信頼性,妥当性の評価が行われているが,SAS,MAASにおけるそれらの評価は限られたものである。RASSは最も多くの側面から信頼性,妥当性の評価が検討されており,現時点では最も有用なスケールであると言える。