2011 年 18 巻 3 号 p. 393-396
気管切開が人工呼吸からの離脱に有効であった小児症例を経験した。症例は先天性筋ジストロフィーと高度側彎症を合併した12歳女児で,上気道炎を契機とした急性呼吸不全に対し人工呼吸管理を必要としたが,気管挿管操作に約2時間を要した。その後,2度の自己抜管と再挿管を繰り返し,挿管に難渋すると共に肺炎と無気肺を合併,鎮静薬の増量を余儀なくされた。この悪循環を断つために気管切開を施行した。その結果,鎮静薬を減量,低酸素に陥ることなく人工呼吸器から離脱し,現在はスピーチカニューラ付きで通学している。