日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
眼科手術後に心肺停止状態となり,神経原性肺水腫が疑われた一例
伊佐 泰樹原山 信也荒井 秀明長田 圭司新庄 貴文二瓶 俊一相原 啓二蒲地 正幸
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2013 年 20 巻 2 号 p. 243-246

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抄録

【はじめに】くも膜下出血,頭部外傷,てんかんなど中枢神経系障害の後に神経原性肺水腫をきたすことが知られているが,脳梗塞が原因とされる報告は少ない。脳梗塞を原因とする神経原性肺水腫と考えられた症例を経験したので報告する。【症例】54歳,女性。緑内障の手術のため入院し,全身麻酔下で濾過手術を施行,術後抜管され病棟へ帰室した。帰室後呼吸苦を訴え心肺停止となり,心肺蘇生を行い18分後に心拍が再開した。胸部X線,CTで両側の肺水腫を認め,急激に進行する肺水腫に対して膜型人工肺を導入し救命に至った。心原性肺水腫,誤嚥や心肺蘇生に伴う肺水腫とは考えにくく,蘇生から約5時間後の頭部CTで早期の脳梗塞を認めたため,神経原性肺水腫の可能性が高いと考えた。【まとめ】脳梗塞の既往や糖尿病など脳血管疾患のハイリスク患者に突然発症する肺水腫では,神経原性肺水腫も念頭におく必要がある。

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© 2013 日本集中治療医学会
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