2016 年 23 巻 3 号 p. 324-327
64歳,女性。既往歴:気管支拡張症。突然大量に喀血し,当センターへ搬送された。気管挿管を施行し,気管支鏡を施行,来院時喀血は止まっており経過観察とした。第3病日大量に喀血し酸素化不良となり,veno venous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)を開始した。血管造影検査にて右気管支動脈より出血を認め,中心循環系血管内塞栓促進用補綴材(セレスキュー®,アステラス製薬)による血管塞栓術にて止血を行った。酸素化は改善せず,気道内よりoozingを認めた。このためECMO施行中の抗凝固療法には強い制限があった。気道内には血餅が充満しており,気管支鏡にて慎重に血餅除去を行いながら人工呼吸管理を行った。徐々に肺の含気が得られ第15病日よりhigh frequency oscillatory ventilation(HFOV)を開始した。第32病日にECMOから離脱した。第95病日にリハビリテーション目的に転院となった。本症例では出血のリスクが高く,ECMO施行中の抗凝固薬使用には強い制限があった。しかし,血栓性の合併症は回路の交換1回のみであり,安全にECMOから離脱することができた。