日本集中治療医学会雑誌
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総説
外傷患者における疼痛管理
井上 明彦一二三 亨黒田 泰弘
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2018 年 25 巻 6 号 p. 421-429

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抄録

外傷患者では疼痛管理が必須である。疼痛によって引き起こされるストレス反応は,様々な有害事象と関連し,適切な疼痛管理は短期的にも長期的にも良好なアウトカムに関連する。疼痛に対しては,まずは疼痛スケールにより評価し,系統的に鎮痛を行っていく。複数の鎮痛薬や鎮痛法を組み合わせた鎮痛管理(multimodal analgesia management)は,特にオピオイドの副作用を減少させることができ,有効である。重症外傷患者では,時に蘇生が優先されるため,ICUに入室する際は見逃し損傷に注意が必要である。肋骨骨折は外傷の中でも頻度が高いが,不適切な疼痛管理により肺炎を合併し,時に致死的となる。しかし,有効な鎮痛法に関しては,根拠を示す十分な研究がいまだにないのが現状である。今後のさらなる研究が望まれる。

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© 2018 日本集中治療医学会
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