日本集中治療医学会雑誌
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症状の軽快にもかかわらず(1→3)-β-D-glucanの異常高値が持続した真菌性敗血症の1症例
林 真雄奥 格溝渕 知司竹内 護五藤 恵次松三 昌樹片山 浩森田 潔
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2003 年 10 巻 3 号 p. 187-191

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抄録
症例は71歳,女性。低位前方切除術を施行され,術後1週間目頃より38℃台の発熱を認め,循環動態不安定となり無尿となったため,当院ICU入室となった。入室時より敗血症性ショックに対する治療を行ったが,尿が得られず持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)を開始した。入室2日目にβ-Dグルカン濃度を測定したところ5,220pg・ml-1と著しい高値を示し,同日の血液培養からはCandida albicansが検出された。ミコナゾール静注,アムホテリシンB静注および経管投与,フルコナゾール静注により,約2週間後にショックから離脱した。以後,人工呼吸器から離脱,腎不全は改善せず維持透析となったが,(入室37日目)ICUを退室した。本症例では,ICU入室当初明らかに深在性真菌症を原因とするβ-Dグルカン濃度の著しい高値があったが,症状軽快にもかかわらず,経過中β-Dグルカン濃度は500~1,000pg・ml-1と高値が持続し,ICU退室後も改善せず,原因として真菌感染の持続状態が考えられたが,同定には至らなかった。
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