日本集中治療医学会雑誌
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循環不全を呈した診断のついていない白血病患者に経皮的心肺補助装置を導入した症例
野本 功一村山 隆紀西村 光生大塚 祐史平崎 裕二稲田 眞治砂川 浩瀬尾 憲正
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2003 年 10 巻 4 号 p. 347-351

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抄録
患者は44歳の男性で,突然の呼吸困難に陥り,肺塞栓症が疑われ当センターへ緊急転送された。気管挿管後も呼吸循環不全が進行し,輸液負荷とカテコラミン投与では血行動態および肺酸素化能が維持しえないため,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support system, PCPS)を導入した。肺動脈造影の結果,肺塞栓症の確定診断を得て治療を開始したが,その後に得られた血液検査の結果により,急性発症の白血病による血液粘性の異常亢進が原因であることが判明した。PCPS開始6時間後,回路の血栓閉塞のため運転を停止せざるをえなかった,急速に進行する重症救急症例において,蘇生の対象とならない悪性疾患を的確に除外することの難しさを痛感した症例であった。
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