日本集中治療医学会雑誌
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白血球の著明増多により偽性低酸素血症を呈した急性白血病の1例
北 義人石瀬 淳柴田 恵三吉田 豊廣田 幸次郎小林 勉
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1995 年 2 巻 4 号 p. 223-227

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抄録
著増した白血球により偽性低酸素血症を呈した急性白血病の一例を経験した。骨髄異形成症候群の65歳男性が,腎癌摘出術後,高度の低酸素血症を来しICUへ入室した。パルスオキシメータでSpO2が98%に対し,血液ガス分析ではPaO2が41mmHg,SaO2が79%であった。白血球数が257×103・mm-3あり,急性白血病への移行と診断された。採血直後103mmHgのPaO2が,室温で2分後85,5分後69,10分後52,30分後36mmHgまで低下した。化学療法により白血球数が37×103・mm-3に減少した血液では酸素分圧の低下は見られなかった。これらのことから,著明に増加した病的白血球の代謝による酸素消費が,経時的な酸素分圧低下の原因と考えられた。
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