喘息発作時の症状増悪の速さと人工呼吸時の臨床像との間にどのような関係があるのか検討した。人工呼吸を実施した重症喘息発作26例を,発作発現から気管内挿管までの時間により急速型(2±1時間,9例),中間型(14±5時間,9例),緩徐型(2.2±0.5日,8例)に分類し,人工呼吸時間,動脈血ガス分析,最高吸気圧(peak inspiratory pressure: PIP)の経時変化について測定した。急速型では高CO
2血症を伴った混合性アシドーシスが認められ(気管内挿管時),PIPは高値を示したが(39±9cmH
2O),回復は速やかで人工呼吸時間は短かった(10±8時間)。中間型ではPIPが著しく高く(42±8cmH
2O),人工呼吸は長期化した(59±26時間)。緩徐型ではPIPが高くないにもかかわらず(31±5cmH
2O),多量の気管内分泌物,低酸素血症などが持続し,人工呼吸は長期化した(63±29時間)。これらの結果は,人工呼吸時の臨床像が明らかに異なる3つの病型があること,そのうちの中間型は人工呼吸管理に関して最重症群であり,肺の圧外傷を起こす危険性が大きいことを示している。
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