日本集中治療医学会雑誌
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胸部食道癌術後の呼吸管理の変遷
長期挿管から早期抜管へ
中川 英刀今中 秀光妙中 信之吉矢 生人村田 厚夫塩崎 均
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1996 年 3 巻 1 号 p. 15-19

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抄録

胸部食道癌根治術後は呼吸器合併症の発生率が高い。術後に咳嗽反射が回復するまで長期間気管内挿管を行った前期群(51例)と咳嗽反射に関係なく術後2,3日目に抜管した後期群(30例)の呼吸器合併症発生頻度について比較検討を行った。術後肺炎の発生率は前期群43%,後期群17%,抜管後の声帯をはじめとする上気道障害発生率は前期群76%,後期群50%であり,前期群では後期群に比べて有意に呼吸器合併症の発生率が高かった。長期挿管を行うことは,上気道障害,嚥下機能の障害を発生させ,これが術後肺炎の原因となったと考えられる。早期に抜管するのが,上気道,咽頭機能温存のためには望ましい。また咳嗽反射の低下があってもミニ気管切開チューブの挿入にて,有効な肺理学療法が可能であった。

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