侵襲の大きな手術の術後に生ずる細胞外液の中心部への移動をブドウ糖初期分布容量(IDVG)により評価できるか否かを,術後直接ICUへ入室した食道癌手術患者を中心とした21例を対象として検討した。ICU滞在中毎日ブドウ糖5gとインドシアニングリーン(ICG)25mgを中心静脈ラインより30秒で投与し,その前後で動脈血を採取した。IDVGは投与後3~7分,ICGを用いた血漿量(PV-ICG)は投与後3~11分の血漿濃度により1分画モデルで算出し,計104点で検討した。術後3日目には術当日ICU入室時に比し,両算出値は増加した(P<0.05)。この時ヘマトクリット値は低下し(P<0.05),また体重の増加はなかった。さらに両算出値間には正の相関関係(r=0.68,n=104,P<0.001)が認められた。IDVGは術後見られる体液の移動を反映し,体液管理に有用である。