抄録
目的;当施設における経皮的人工心肺補助装置(PCPS)について方法,死亡率,合併症,予後を検討した。
対象;1991年4月から2001年3月まで当施設において,救急・集中治療の現場で施行された71例を対象とした。男性44例,女性27例,平均年齢61.5±10.5歳であった。疾患の院外発症は病院前CPA29例,来院後CPA13例の計42例と,院内発症は入院中19例(肺血栓塞栓症,心疾患など),開心術後および経皮的冠動脈血管形成術(PTCA)などカテーテル操作中10例の計29例であった。
結果;平均体外循環時間は39時間28分(1~199時間),平均流量は2.73l・min-1(1.31~5.96l・min-1)で,生体の平均活性凝固時間(ACT)は242sec(185~652sec)であった。システムの簡便化により,初期に比して,約30分の準備期間の短縮をみた。また合併症は出血10例,穿刺部血腫6例,末梢側血栓2例,溶血8例を認めた。疾患別の死亡率は心肺蘇生後は93.6%,大動脈解離は100%,開心術後は71.4%,肺血栓塞栓症後は14%,心筋梗塞は67.8%,不整脈は0%であった。離脱例は46例(64%),救命例は29例(40.8%),死亡例は42例(59.2%)であった。
結語;心肺蘇生後および大動脈解離,心筋症,開心術後の予後は不良であり,今後PCPSの適応に検討が必要である。その反面,急性肺血栓塞栓症のショック例,心筋梗塞,心室細動(VF)の蘇生後の予後は比較的良好であった。