抄録
背景;バルーン付き右心カテーテル(肺動脈カテーテル)は最も信頼のおける心血行動態モニタリングの1つである。
目的;右室拡張末期容量係数(RVEDVI)の連続モニターを可能にしたバルーン付き右心カテーテルを用いて,RVEDVIと心係数(CI)の関係を前向き試験で明らかにすること。
方法;バルーン付き右心カテーテル挿入の適応を有した心原性循環虚脱9例の心血行動態を,1時間ごとに48時間以上,総計439ポイント測定し,RVEDVIとCIの関係を分析した。
結果;RVEDVIと酸素摂取率(O2ER)は各々CIと有意な相関を示した。一方,肺動脈楔入圧(PAWP)と中心静脈(CVP)は有意な相関を示さなかった。重回帰分析では,CIに関与する因子は,心拍数,RVEVDI,駆出率およびO2ER(R2=0.4,P<0.0001)であった。
結論;RVEDVIはCIの予測因子であったことより,かかる連続モニタリングはCIの管理に有用と結論した。