日本集中治療医学会雑誌
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9 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 中尾 浩一
    2002 年9 巻2 号 p. 95-102
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    新しい患者管理手法であるクリニカルパスの意義と,その急性心筋梗塞リハビリテーションへの適用について概説した。我々は心筋梗塞のリスクを層別化した3種類のパスを用いてリハビリテーションを行っており,予後を悪化させることなく,在院日数を短縮した。パスの中に達成すべきアウトカムを明確に示し,バリアンスを評価することによって,提供する医療の質を継続的に改善することが可能になる。さらに医療に多職種が関与し,エビデンスが反映される場をパスは提供したとも言える。しかし,パスに対する医師の支持が得られなければ,コスト削減や,質の向上といった目標の達成は極めて困難である。元来,経済的インセンティブによって米国で開発されたパスではあるが,本邦の医療事情に合わせて再構築される必要がある。
  • 市原 利彦, 江田 匡仁, 矢野 隆, 川瀬 正樹, 森 さつき, 上田 裕一
    2002 年9 巻2 号 p. 103-106
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的;当施設における経皮的人工心肺補助装置(PCPS)について方法,死亡率,合併症,予後を検討した。
    対象;1991年4月から2001年3月まで当施設において,救急・集中治療の現場で施行された71例を対象とした。男性44例,女性27例,平均年齢61.5±10.5歳であった。疾患の院外発症は病院前CPA29例,来院後CPA13例の計42例と,院内発症は入院中19例(肺血栓塞栓症,心疾患など),開心術後および経皮的冠動脈血管形成術(PTCA)などカテーテル操作中10例の計29例であった。
    結果;平均体外循環時間は39時間28分(1~199時間),平均流量は2.73l・min-1(1.31~5.96l・min-1)で,生体の平均活性凝固時間(ACT)は242sec(185~652sec)であった。システムの簡便化により,初期に比して,約30分の準備期間の短縮をみた。また合併症は出血10例,穿刺部血腫6例,末梢側血栓2例,溶血8例を認めた。疾患別の死亡率は心肺蘇生後は93.6%,大動脈解離は100%,開心術後は71.4%,肺血栓塞栓症後は14%,心筋梗塞は67.8%,不整脈は0%であった。離脱例は46例(64%),救命例は29例(40.8%),死亡例は42例(59.2%)であった。
    結語;心肺蘇生後および大動脈解離,心筋症,開心術後の予後は不良であり,今後PCPSの適応に検討が必要である。その反面,急性肺血栓塞栓症のショック例,心筋梗塞,心室細動(VF)の蘇生後の予後は比較的良好であった。
  • 長尾 建, 林 成之, 三木 隆弘, 岡本 一彦, 二藤部 英治, 菊池 学, 渡辺 和宏, 上松瀬 勝男
    2002 年9 巻2 号 p. 107-112
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    背景;バルーン付き右心カテーテル(肺動脈カテーテル)は最も信頼のおける心血行動態モニタリングの1つである。
    目的;右室拡張末期容量係数(RVEDVI)の連続モニターを可能にしたバルーン付き右心カテーテルを用いて,RVEDVIと心係数(CI)の関係を前向き試験で明らかにすること。
    方法;バルーン付き右心カテーテル挿入の適応を有した心原性循環虚脱9例の心血行動態を,1時間ごとに48時間以上,総計439ポイント測定し,RVEDVIとCIの関係を分析した。
    結果;RVEDVIと酸素摂取率(O2ER)は各々CIと有意な相関を示した。一方,肺動脈楔入圧(PAWP)と中心静脈(CVP)は有意な相関を示さなかった。重回帰分析では,CIに関与する因子は,心拍数,RVEVDI,駆出率およびO2ER(R2=0.4,P<0.0001)であった。
    結論;RVEDVIはCIの予測因子であったことより,かかる連続モニタリングはCIの管理に有用と結論した。
  • 下村 晃子
    2002 年9 巻2 号 p. 113-119
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,JCSに基づいて試作した意識レベル判定のための看護アセスメント指標(アセスメント指標)の信頼性と妥当性を検討することである。
    方法は,臨床経験4年以上の看護婦(評価者)11名のうち3名ずつで,患者55名を対象に,アセスメント指標とGCSを用いて意識レベルを評価した。評価者のアセスメント指標使用項目と意識レベル判定結果の一致度から評価者間信頼性を,アセスメント指標とGCSの判定結果による相関から併存妥当性を調べた。
    アセスメント指標58項目は2項目を除き,級内相関係数は有意であった(P<0.05)。アセスメント指標による意識レベル判定では,3名が一致した症例は30.9%,2名一致の症例が67.3%であった。この3名の判定結果の評価者間における相関係数は0.939(P<0.001),κ係数0.469(P<0.01)で有意な相関が得られ,信頼性が確認された。またアセスメント指標判定結果とGCS合計点との間には,相関係数-0.914(P<0.001)で有意な負の相関が得られ,妥当性が確認された。
  • 平田 孝夫, 金子 秀一, 小泉 有美馨, 宮崎 孝尚, 田村 高志, 増田 直樹, 山下 茂樹, 米井 昭智
    2002 年9 巻2 号 p. 121-126
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    壊死性筋膜炎(necrotizing fasciitis, NF)はA群連鎖球菌によって起こることが多く,致死率の高い重篤な感染症である。今回我々は極めて稀なB群連鎖球菌によるNFの1救命例を経験したので報告する。症例は80歳男性。糖尿病を指摘され加療中であった。下腹部に表皮剥離を伴った有痛性の腫瘤を自覚した。2~3日後,疼痛が増悪し不隠状態となったため当院を受診した。腹部CTでガス像を含む皮下組織の広範な壊死を認めたためガス壊疽を疑い緊急の広範囲の腹壁開放術を行った。術後はICUに収容した。壊死組織からB群連鎖球菌が培養された。ICUでは,十分な鎮静下での創の洗浄,抗生物質,γグロブリン投与などにより第14病日に軽快退室した。B群連鎖球菌によるNFはA群と同様に極めて重篤で,治療には早期の開放洗浄術を含めた集中管理が重要である。
  • 小野 理恵, 藤野 裕士, 内山 昭則, 西村 信哉, 西村 匡司, 妙中 信之, 南 正人, 真下 節
    2002 年9 巻2 号 p. 127-130
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は35歳の女性。肺リンパ脈管筋腫症の診断で,死体左側片肺移植が施行された。術後の経気管支肺生検施行直後に呼吸困難感,頻呼吸が出現し,胸部単純X線写真で左側下肺の無気肺と右肺の著明な過膨張を認めた。そこでfull face mask装着下にBiPAP vision(R)を用いた非侵襲的陽圧換気(NPPV)を施行した。症状と動脈血酸素化の改善がみられ,いったんNPPVを中止し,ICUに収容した。収容後,自発呼吸下では努力様呼吸と酸素飽和度の低下がみられたためNPPVを再開した。本人の希望による中断を挟みながらNPPVを7.5時間施行した。自発呼吸下に呼吸状態が安定したためNPPVを中止した。その後,狭窄気管支の治療のためにステント留置術が施行された。術後は鼻カニューラによる酸素吸入で問題なく経過し,ICU収容後5日目に軽快退室した。本症例では肺移植後の気管狭窄に対しNPPVを施行することで,気管挿管することなく呼吸不全症状を改善できた。
  • 安田 善一, 藤林 哲男, 鈴木 久人, 高倉 康, 福田 悟
    2002 年9 巻2 号 p. 131-134
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    アセトアミノフェン内服量が60mg・kg-1と中毒量としては少量であるにもかかわらず,重篤な肝障害をきたした症例を経験した。アセチルシステイン投与に加え血液浄化法を施行し治癒させることができたので報告する。患者は16歳,女性。自殺目的で市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンとして2.7g)を内服し,意識障害,嘔吐,尿失禁を認め入院となった。内服8時間後に肝逸脱酵素の上昇,第2病日にトロンボテストの低下を認め,血液浄化を目的にICUに収容し,第2,3病日に血漿交換(PE),第2~7病日に持続的血液濾過(CHF)を施行した。肝障害は第4,5病日をピークに徐々に改善し,第8病日に一般病棟へ転室した。重篤な肝障害をきたした原因として,患者が頭痛時などに内服していた他の消炎鎮痛薬や,市販薬に含まれていたブロムワレニル尿素およびエテンザミドの影響が考えられる。アセトアミノフェン中毒では内服が少量でも重篤な肝障害をきたす可能性があり,注意深い観察が必要である。
  • 甲斐 知子, 金子 高太郎, 唐川 真二, 土井 正男, 右田 貴子, 石原 晋
    2002 年9 巻2 号 p. 135-138
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    仙腸関節炎を初発症状とした感染性心内膜炎(IE)の1例を経験した。
    患者は18歳女性。覚醒剤の使用開始から2ヵ月後に40℃の発熱を認め,3ヵ月後に著しい臀部痛のため起立不能となり複数の病院で抗生物質治療を受けた。5ヵ月後に前医によって腰部CT検査で仙腸関節の炎症像,血液培養にてγ-Streptococcusを認め,化膿性仙腸関節炎による敗血症,多臓器不全と診断され当院へ転院となった。来院時は全身性炎症反応症候群,うっ血性心不全,急性腎不全を呈し,心臓超音波検査では三尖弁の疣贅形成と閉鎖不全(TR)II°を認めた。われわれはIEによる敗血症と診断しペニシリンG大量療法を開始した。約1ヵ月で検査所見,自覚症状は改善し,三尖弁形成術を施行され入院5ヵ月後に退院となった。
    IEの25~44%に筋骨格症状を認めるが,本症例のような仙腸関節部痛は稀である。IEの危険因子である薬物乱用が増加しており,不明熱,関節痛の原因としてIEに着目する必要がある。
  • 大西 芳明, 黒田 泰弘, 福田 靖, 飯富 貴之, 佐藤 由美子, 加藤 道久, 阿部 正, 大下 修造
    2002 年9 巻2 号 p. 139-142
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    新規購入された輸液ポンプ(TE-172,TERUMO,東京)100台およびシリンジポンプ(TE-312C,TERUMO,東京)120台に対して,初期トラブルを未然に防止するために臨床工学技士による導入時点検を実施しメーカー仕様と比較した。輸液ポンプでは,その外観,セルフチェック動作,気泡検出機能には異常は認められなかった。閉塞検出機能では,1台で高圧域で閉塞警報が検出範囲内で作動せず調整を必要とした。流量精度試験では10台に異常が認められ,1台で低流量域で流量が著しく減少し調整を必要とした。バッテリー性能では,shut down時間には異常なかったが,1台で電圧低下警報の発生時間の短縮が認められバッテリーを交換した。シリンジポンプでは,その外観,セルフチェック動作,シリンジ検出機能,残量検出機能,閉塞検出機能,バッテリー電圧低下警報の発生時間には異常は認められなかった。流量精度試験では8台に異常値が得られたが調整を必要とするほどではなかった。点検には107.5時間が必要であった。臨床工学技士による機器購入時の導入時点検は,点検に時間を要するが,その性能を維持するために不可欠である。
  • 加納 龍彦, 高木 俊明, 戸畑 裕志, 原田 秀樹, 杉山 和英, 渡邉 誠之, 山田 信一
    2002 年9 巻2 号 p. 143-146
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    頭皮上導出脳波への電気メス使用時の電磁波混入を防止する目的で光伝送脳波計を試作した。試作した4チャネル仕様の光伝送脳波計は,導出電極からの電気信号を光信号に変換し光ファイバで伝送し,脳波記録機器ヘインプットする直前に再び電気信号に戻す。全身麻酔下開腹手術患者で光伝送脳波計と通常脳波計を用いて頭皮上脳波を同時記録すると,ほぼ同じ波形が得られた。電気メス使用時には通常脳波計では電磁波混入が強く脳波を記録できなかったが,光伝送脳波計では術中を通して脳波記録,モニタリングに支障はなかった。光伝送脳波計は頭皮上電極から脳波計への伝導性を遮断するので,電磁誘導,静電誘導対策に苦慮する手術室での脳波記録,モニタリングに有用と考える。
  • 幸村 英文, 薊 隆文, 中川 隆, 田渕 昭彦, 勝屋 弘忠
    2002 年9 巻2 号 p. 147-149
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    血中乳酸値は,ICUなどにおける重症患者治療において,病態の重症度判定に有用な指標である。今回われわれは新たに導入された簡易血中乳酸測定器Lactate ProTM(アークレイ,日本)の臨床的信頼性を検討した。当院手術室,ICU,救急外来で治療した重症患者34名から84検体を採取し,その血中乳酸値をLactate ProTMと現在使用しているABL625TM(Radiometer社,Denmark)で測定し,比較した。その結果,両機器で同時に測定した血中乳酸値の差の平均は-1.31mg・dl-1,差の標準偏差は8.62mg・dl-1であった。Lactate ProTMは簡便に,そして迅速に場所を選ばず血中乳酸値を測定でき,その値は臨床使用に十分耐えうると思われた。
  • 小林 誠人, 寺田 浩明, 向仲 真蔵, 藤井 千穂
    2002 年9 巻2 号 p. 151-152
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 赤松 繁, 熊澤 昌彦, 山本 拓巳, 仁田 豊生, 内藤 智雄, 土肥 修司
    2002 年9 巻2 号 p. 153-154
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 中谷 桂治, 林 正則, 濱岡 直也, 豊田 芳郎, 大野 喜代志
    2002 年9 巻2 号 p. 155-156
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 萬代 良一, 長田 良子, 松浪 薫, 江口 豊, 佐井 義和, 野坂 修一
    2002 年9 巻2 号 p. 157-158
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 2002年3月
    日本集中治療医学会集中治療部設置基準検討委員会
    2002 年9 巻2 号 p. 159-168
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 2002 年9 巻2 号 p. 179
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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