抄録
ヤマメ稚魚の放流時期に合わせて当稚魚の臨界遊泳速度を岩木川取水堰で計測した.魚道地点の河川敷に小型の長方形断面水路(幅15cm・高さ15cm・長さ100cm)を設置し,水路には断面平均流速17~92cm・s-1の範囲で河川水を流し,体長4.8~7.1cmの稚魚を遊泳させた.計測中の水温は13.7~20.6℃で,推定された60分間臨界遊泳速度は,16~41cm・s-1であり,体長との間に正の相関が認められた.また,体長の倍数で表すと,3.5~6.9倍(平均5.5,標準偏差1.1)の速さとなった.計測時の水温の違いによる60分間臨界遊泳速度への影響は少ないと推察された.