抄録
沖縄県南西諸島などの島嶼地域では,地下帯水層の上層に形成される淡水レンズを対象とした水源開発計画が検討されている.今後,温暖化の進行に伴う海面上昇や淡水レンズの縮小が想定されることから,より合理的な取水技術の確立が必要と考えられる.淡水レンズにおける取水では,必然的にコーン状の塩分濃度が高い塩水錐が発生する.この塩水錐の引き込みを抑えることが淡水取水の必要条件となる.本論文では,数値実験により集水ボーリング管の透水係数を決定し,密度変化を考慮した三次元移流分散解析を適用して集水井構造の評価を行った.その結果,集水ボーリング管1本当たりの取水量と集水ボーリング管の配置間隔を変えたパラメトリックスタディにより,塩水錐の上昇や干渉を抑える集水井構造を合理的に評価できることを明らかにした.