水田用の落水枡と田んぼダム用の落水量調整器具の組み合わせを6通り想定し,それぞれの機能を評価した.まず水理実験を通じて,流出量計算に用いる各器具の流量係数を推定した.次に,各器具の流量係数を設定した一筆水田モデルを構築し,そこに100~500mm/3dの範囲で9通りの雨量規模を設定した模擬豪雨を入力して,流出量及び田面水深の変化を計算した.その結果,全ての器具で流出量のピークカット機能が発揮されたが,ここで用いた一体型の器具は100~150mmの時に特に効果が高く,分離型の器具は300mmの雨量規模で効果が最大化した.同時に,田面水深の上昇と逓減についても器具毎の特徴を評価できた.田んぼダム実施の際には,防災効果を期待する降雨規模を設定すると共に,現地水田の状況を把握した上で,適切な器具選択と設置方法を事前に検討することが望ましい.