国内の市販鶏ふん炭について,炭素貯留量の推定係数の適用性と肥料資材としての特徴を理化学性,成分分析から明らかにし,さらに肥料効果をリン酸肥料との比較から検討した.Jクレジット制度において炭素貯留量の算定に与えられている有機態炭素含有率(FC)および100年後の炭素残存率(Fperm)のデフォルト値は,市販鶏ふん炭の値と同等であり,鶏ふん炭の炭素貯留効果の推定に利用可能と考えられた.肥料成分は試料間でばらつきがみられ,この要因として原料と炭化温度が関係していると考えられた.コマツナのポット栽培試験では,鶏ふん炭区は即効性リン酸肥料区と同程度の乾物重が得られた.また,作物の微量要素の吸収が示されたことから微量要素供給源として有効であると考えられる.