山林からの年間の物質流出量である河川負荷量を推定することを目的として,面積12.14haの山林流域で,自動採水器を用いて,2016年に2日に1度の定期採水と,累積流出高5mm毎にサンプリングする離散的な流量比例採水の2種類の水質モニタリングを実施し,あわせて大気からの総沈着量も測定した.対象項目は懸濁態と溶存態を含む16項目である.負荷量推定の結果,効率の良い流量比例採水を採用し年間183個の標本濃度値を得たにもかかわらず,懸濁態成分を含む水質項目で河川負荷量の不確かさが点推定量の数倍程度と大きいことと,溶存態項目での不確かさが十分に小さいことが示された.懸濁態成分を含む項目での大きな不確かさは不規則な水質変動に起因するものであり,当該流域においては,2日に1度の高頻度の定期調査では負荷量の推定精度が非常に低いことも示された.