抄録
本研究は, クリンカーアッシュがコンクリートの細骨材として利用できるかどうかを検討するものである. クリンカーアッシュはフライアッシュと近似する化学組成を有し, コンクリートに化学的な悪影響がない. クリンカーアッシュは高い吸水率をもつため, コンクリートに骨材として用いる場合, 流動性を改善する効果をもつII種以上のフライアッシュと併用するほか, AE減水剤などの併用も勧められる. クリンカーアッシュを細骨材の換わりに使う場合, その置換率は10%が限界だと考えられ, 同時にセメントの換わりにフライアッシュの置換率を30%とした方がよい. クリンカーアッシュをコンクリートの細骨材の10%置換した場合, コンクリートの強度発現と組織構造には支障ないことを明らかにしたが, コンクリートの耐凍結融解性が低く, AE剤の添加による対応が必要である.