本研究は,資質・能力を育成する観点から,相互評価表を用いる学習活動を取り入れた中学校理科の授業を実践し,実験結果の考察記述をアーギュメントの視点で分析することにより,相互評価活動と記述の論理的表現の変容との関係について検討することを目的として行った。相互評価表を用いる学習活動とは,授業における学習課題に対する記述について,一定の評価規準を用いて生徒それぞれが自己評価と相互評価を行い,評価結果とともに課題に対する記述を振り返る中で,主体的に学習に取り組みながら表現力等を育成することを目的とする学習活動である。分析の結果,考察記述の論理的表現の改善が見られたこと,アーギュメントの構成要素の一つである論拠に関する記述や評価について課題があることが明らかとなった。