農業土木学会論文集
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カドミウム吸収抑制対策としての湛水管理稲作について
中干し, 有機肥料の影響評価
粟生田 忠雄小林 由花稲葉 一成
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2006 年 2006 巻 243 号 p. 285-289

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抄録

安全・安心なコメ作りはアジア諸国にとって重要な課題である. わが国では, 2002年には農林水産省・農業環境技術研究所から水稲のカドミウム吸収抑制技術マニュアルが発表され, その啓発と普及が図られている.
本研究は水稲のカドミウム吸収抑制技術の営農現場への普及と発展のため, 水・施肥管理の異なる水田において土壌pHと土壌Ehの定点観測, および稲刈り時の玄米と土壌のカドミウム濃度の分析を行い, それぞれの関係を考察した. その結果, 1) 中干し, 間断潅漑をしない湛水管理は, 出穂期前後40日間の土壌pHを高く, 土壌Ehを低く安定化させ, 2) 有機質肥料と化学肥料では, 前者の施用が土壌pHを高め, 3) カドミウム吸収抑制のための土壌pH, 土壌Ehの明確な閾値は確認できず, 4) 気象条件 (夏期の降雨量) は必ずしも玄米カドミウム濃度に影響しないことが明らかになった.

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© 社団法人 農業農村工学会
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