抄録
底樋はため池堤体を貫通して設置される構造物である.老朽化したため池では底樋まわりで地盤との密着が低下し, 水みちの発生など潜在的な弱点箇所になっている事例が多く, 地震や豪雨による被災を助長する要因にもなる.
本論では底樋周辺部における浸透と水みち発生経過に着目した模型実験と数値解析を行い, 水みち抑止効果を有する底樋構造について検証した. その結果,(1) 底樋近傍に周囲の砂地盤と比べて透水係数の大きい領域を仮定すると解析値は実験値とよく符合すること,(2) 止水壁は限界動水勾配の向上に有効であり, 土粒子の移動を抑止する機能が重要と考えられること,(3) 継手構造の底樋は水みち形成時に生じる隙間や局部的な沈下に追従して管路が変位することによりパイピングに対する抵抗性が向上すること, が明らかとなった.