情報知識学会誌
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解説
CODATAと"Open Access"
国沢 隆岩田 修一
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2005 年 15 巻 3 号 p. 42-47

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抄録
 Committee on Data for Science and Technology (CODATA, http://www.codata.org/)は1966年にInternational Council for Science (ICSU)の常設委員会として発足した.その使命は大量の複雑化した科学技術データを使い易くすることであり, 自然科学の分野や国境を越えて組織されている.現在では, 23ヶ国と14国際学術連合がCODATAに参加している.発足当時は, 科学や技術の進歩は人々の生活の改善を自動的にもたらすという暗黙の了解があり, 各国の政府は科学や技術が定常的に成長するような政策を展開した.しかしながら1990年代になると, "持続的成長"に象徴される環境問題が提示するように倫理的な視点を欠いた科学・技術の進歩や大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした工業化社会に対しての反省と議論があり, さらには競争の激化, 格差の増大等の経済状況の悪化や科学技術データの経済的価値の増大などから, 各国とも科学技術データについての知的所有権強化の動向が生じた.CODATAは行き過ぎた知的所有権強化策は科学・技術の進歩に好ましくない影響を与えることになることを懸念し, この方面でもいろいろな活動を展開してきた.ここではCODATAが行ってきた"Open Access"という原則の普及活動について解説を試みる.
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