本研究は,読者の感情移入や物語展開の必然性を生む「背景史(登場人物の過去の物語)」に着目し,背景史の受容メカニズムを考慮した「背景史包含型物語」の自動生成手法を提案する.本稿では,分析対象 7作品から抽出した物語構造の頻出 3-gramに基づいてプロット生成を実施した.さらに,背景史の出現確率モデルを構築し,これに基づいて背景史連鎖および背景史包含型プロットの生成を実現した.具体的には,物語構造と背景史カテゴリ間の共起尤度に基づき,プロットの各シーンへ背景史カテゴリを割り当てて統合を行った.加えて,熟練者を含む 15名を対象とした評価実験の結果,提案手法による物語は既存のアルゴリズムによる通常物語と比較し,「背景史が語られているか」等の全ての設問において統計的に有意な高評価を獲得した.