2020 年 39 巻 4 号 p. 362-366
目的 : ステム周囲骨折は治療に難渋することが多いが, まとまった報告が少ない。今回我々は可及的に多くの症例の傾向と特徴を調査した。
方法 : 対象は2006年3月から2018年3月までに受診した大腿骨ステム周囲骨折患者51名とし, バンクーバー分類での骨折タイプ, 先行手術の種類, 先行手術のステム固定様式, 先行手術からの経過時間, ステム周囲骨折への治療方法を調査した。
結果 : バンクーバー分類Type Aが5.9%, Type B1が47%, Type B2が20%, Type B3が2.0%, Type Cが25%だった。先行手術のステム固定様式はセメントレスが76%, セメントが24%だった。先行手術からステム周囲骨折までの期間は平均8年7か月だったが, 1年以内の症例が24%と最も多かった。治療方法は骨接合術が53%に, 再置換術が39%に行われていた。ステムのゆるみがないと判断されたType B1に対しても33%で再置換術が施行されていた。ステムのゆるみがあると判断されたType B2およびB3はすべて再置換術が行われていた。
考察 : 先行手術から1年以内にステム周囲骨折が多いことから人工股関節置換術後または人工骨頭置換術後すぐに骨粗鬆症治療や転倒予防措置などのステム周囲骨折の予防を行うべきである。また, ステム周囲骨折の治療方針について調査した結果, ステムの固定様式と骨折線の位置によって手術様式を決定できる可能性が示唆された。