日本乳酸菌学会誌
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枯草菌の環境ストレス応答機構
吉川 博文
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2010 年 21 巻 1 号 p. 16-26

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抄録
細胞がさまざまな環境の変化に対処しようとするストレス応答機構の解析は、ストレス下における多様な生物機能を見せてくれるだけではなく、通常条件下の細胞機能を解析する重要なツールとしても使われてきた。枯草菌は、グラム陽性細菌の代表的存在として長年解析されてきたが、ストレス応答機構として知られている4つのメカニズムに関し、我々が解析した結果について報告する。我々の解析の基盤にあるのは、メカニズムの多様性という視点、および機構同士のネットワークという視点である。多くの機構が解明されている大腸菌等との比較によって、生物の持つ多様な世界を知る手がかりになるであろう。また、ある一つの環境ストレスが及ぼす影響は単一のターゲットではないため、その影響は多岐にわたる。したがって応答するメカニズムもさまざまな機構が順次、あるいは同時並行的に働くはずである。こうした機構間のネットワークの解明が究極の目的である。本研究では、まだその入口に立った程度であるが、いくつかのネットワークが垣間見えたので紹介したい。
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© 2010 日本乳酸菌学会
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