2017 年 28 巻 2 号 p. 51-57
里海とは「人手が加わることにより生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸海域」と提唱されている。そこは、里山と同じく人と自然が共生する場所であり、伝統的な漁業、社会組織、食文化が生まれ、伝承されてきた場所である。近年、有用微生物の探索のために、海外の珍しい発酵食品や極限環境からの探索が注目されるが、筆者らは身近な里海環境(水産発酵食品、魚類腸管、漂着海藻)から分離される乳酸菌・酵母のうち、人間にとって有用な機能(健康機能性、食味改善)が期待されるものを「里海乳酸菌・里海酵母」と位置づけてきた。本稿ではその一部を紹介したい。