日本乳酸菌学会誌
Online ISSN : 2186-5833
Print ISSN : 1343-327X
ISSN-L : 1343-327X
29 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
  • 岡田 早苗
    原稿種別: 総説
    2018 年29 巻1 号 p. 3-12
    発行日: 2018/03/10
    公開日: 2019/04/20
    ジャーナル フリー

    著者が乳酸菌研究を始めた当時(1972 年頃)、植物質を原料とする発酵食品や発酵物試料から乳酸菌を分離する際や乳酸菌を同定する上で欠かせなかった乳酸の旋光性決定に困難さがあり、乳酸菌研究は非常に時間がかかるものという時代であった。当時これらが要因となり、多数の乳酸菌株を一時期に取り扱うことが困難な時代であった。著者はこれらの点を改善し、発酵食品などに生息する乳酸菌を幅広く扱えるようにしたと同時に、日本を含む東~東南アジアの国々(地域)での様々な伝統発酵食品(ほとんどが植物質を原料とする)に関わる乳酸菌の分離と収集をしてきた。これらの研究の中で、植物質環境は多様であり、そしてそれぞれの環境の中にいる乳酸菌の株レベルでの個性も多様であることを経験してきた。植物質を原料とし、乳酸菌による発酵を加えた新しい食品を模索するとき、乳酸菌の株レベルの個性が重要であることを明確にしてきた。また研究を続ける中で難分離の乳酸菌にも遭遇し、新たな分離法も考案した。この総説では乳酸菌の株レベルでの個性が応用利用を図る際に重要であることも示した。

  • 西山 啓太, 向井 孝夫
    原稿種別: 総説
    2018 年29 巻1 号 p. 13-18
    発行日: 2018/03/10
    公開日: 2019/04/20
    ジャーナル フリー

    Bifidobacterium 属細菌(ビフィズス菌)は、ヒトの小腸下部から結腸に棲息する共生細菌である。消化管はムチンを主成分とする粘液で覆われており、細菌に棲息の場を提供すると共に、栄養源としても利用される。したがって、ビフィズス菌とムチンとの相互作用は、腸内環境での生存競争に優位にはたらくと考えられる。本総説では、最初にビフィズス菌とムチンとの相互作用にかかわる様々な細胞外タンパク質の特徴について概説する。次に、筆者らが最近見出した糖質分解酵素や線毛を介したビフィズス菌の定着機構について述べる。

  • 松本 星隆, 松木 隆広
    原稿種別: 総説
    2018 年29 巻1 号 p. 19-25
    発行日: 2018/03/10
    公開日: 2019/04/20
    ジャーナル フリー

    ヒトの腸管内では多種多様な細菌から構成される腸内フローラが形成されており、宿主の健康と密接に関連している。とくに乳児期の腸内フローラは、成長後の宿主生理に対しても影響を与えることが示唆されており、その重要性がより一層認識されることとなった。本総説では、誕生直後の乳児腸内フローラ形成過程とその腸内環境への影響について、我々の研究成果を中心に紹介する。あわせて、多くの乳児の腸内で最優勢となるビフィズス菌において見出された、宿主との共生関係の構築に重要となる因子についても述べたい。

  • 青木 亮
    原稿種別: 総説
    2018 年29 巻1 号 p. 26-32
    発行日: 2018/03/10
    公開日: 2019/04/20
    ジャーナル フリー

    生活習慣・食習慣の変化による肥満・メタボリックシンドローム(MS)の増加が世界的な問題となっている。近年の研究により、腸内細菌叢が宿主のエネルギー代謝に密接に関わっていることが明らかとなってきた。このことから、プロバイオティクスやプレバイオティクス・糞便移植など、腸内細菌叢の修飾をターゲットした MS 抑制戦略が注目されている。本稿では、腸内細菌叢による宿主の代謝調節について概説するとともに、プロバイオティクスである Bifidobacterium animalis subsp. lactis GLC2505 の腸管内動態と抗 MS 作用メカニズムの関連性について紹介する。

ミニ特集
feedback
Top