日本乳酸菌学会誌
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総説
NITE が行う微生物の安全な利用に向けた情報提供について
市川 夏子黄地 祥子
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2023 年 34 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

微生物を安全に取り扱うには、利用する微生物の危険度を予め把握しておく必要がある。近年、次世代シーケンス技術の急速な発展に伴いゲノム配列を用いて遺伝子レベルでの安全性の推定が求められてきている。また、全ゲノム配列の分類への応用が進み、分類体系の再編成や学名の変更が行われている。そのような状況の中で利用する微生物の安全性はゲノム配列の情報を用いて判断することが求められている。NITE では、微生物の安全で適切な利用を支援するため、ゲノム配列から毒素等の有害性機能に関わる遺伝子を検出し有害性を推定するツールである MiFuP Safety と、最新の学名を整理し微生物の危険度分類や取扱に関する情報を一元化したデータベースである微生物有害情報リストを提供している。本稿ではこれらのツール・データベースについて構築に至る背景や使い方について解説し、最近のリニューアルについても紹介する。

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© 2023 日本乳酸菌学会
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