2024 年 35 巻 1 号 p. 15-22
乳酸菌という言葉はグラム陽性,カタラーゼ陰性で糖の発酵により乳酸を主要代謝産物として産生する細菌群の総称として用いられてきたが,歴史的に分類学的に一つの学名が与えられた分類群ではなかった。乳酸菌の同定は細胞形態と発酵形式により属が定義され,さらに糖の発酵パターンなどで種が記載されてきた。1986年に出版されたBergey’s manual of systematic bacteriology(第1版)第2巻まで乳酸球菌はホモ型乳酸発酵をするものはStreptococcus属またはPediococcus属,ヘテロ型発酵をするものはLeuconostoc属に,乳酸桿菌はすべてLactobacillus属とされてきたが,16S rRNA遺伝子に基づく系統分類により,既知種の再分類と,新規乳酸菌にも新属が与えられ,2009年に出版された同第2版ではLactobacillales目は6科33属が収載され,さらに2023年には70属に増大している。細胞壁ペプチドグリカンのアミノ酸や菌体脂肪酸組成などの化学分類学的性状が系統分類学的に評価され,属の特徴づけに貢献している。16S rRNA遺伝子によって高次分類群までの系統関係が明らかにされたが,新しいゲノム情報による再検討が始まり,新しい課題も生まれている。