日本乳酸菌学会誌
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Codexにおける遺伝子組換え微生物利用食品の安全性に関するガイドライン作り
五十君 靜信
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2003 年 14 巻 2 号 p. 89-93

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抄録
本年(2003)年6月30日-7月7日にローマで開催されたCodex総会において,バイオテクノロジー応用食品の安全性に関する特別部会の討議事項が承認され,4年間におよぶ本特別部会のガイドライン作成作業は完結した。日本がCodexの特別部会の議長国として,バイオテクノロジー応用食品(とりわけ遺伝子組換え食品)について,国際的な基準,指針,勧告を策定することに充分な成果を上げることができたことは,食品衛生の分野で大変な国際貢献ができたものと思う。Codexの部会,特別部会はそれぞれ,議長国がCodex事務局とともに部会の運営を行うが,アジアの国が議長国となることはこれまでなかった。バイオテクノロジー応用食品の安全性に関する特別部会では,「モダンバイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則」,「組換えDNA植物由来食品の安全性評価の実施に関するガイドライン」,「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン」の3つの文書が作成された。さらに,植物および微生物の2つのガイドラインにはそれぞれ付属文書の形で「アレルギー誘発性評価に関する付属資料」が付けられている。遺伝子組換え食品の安全性に関する国際的なガイドラインが出来たことから,今後各国の遺伝子組換え食品に対する行政的な制御が行われるようになって行くと思われる。これを機会に,本報告ではCodexの概略を紹介した後,特に乳酸菌研究と最も関連が深いと思われる“組換えDNA微生物利用食品の安全性評価に関するガイドライン”の作成過程を示しながら,Codexでこの問題がどのように議論されたかにつき報告する。
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