2020 年 12 巻 p. 62-70
本稿では中国語における後鼻音の韻尾[ng(ŋ)]と日本語における漢字の訓読みとの関係を詳細に分析し,音韻の変化を通じて,比較研究を行う。日本語における漢字の訓読みの変化過程は音韻変化の法則に基づいて進化したもので,その変化は激しく,多種多様であるが,一旦共通認識として固定されると,どれも変化することはなくなる。筆者の研究では,漢字の音読みから訓読みへと変化した例が多数あることを明らかにした。また,本稿では帰化人も日本語における漢字の訓読み形成期において貢献をしたという新しい視点を述べた。