抄録
無電解Niめっきによるポリイミド(PI)上のシード層形成方法において,無電解Niめっき工程より前のいずれかの工程でPIをフッ酸に浸漬処理することで,密着強度が大幅に向上した。処理によりPI表面に粗さの増加や化学組成変化はなく,PI/シード層接合界面にも変化は現れなかった。しかし,めっき皮膜を引き剥がしたシード層側には多量のPIが付着しており,フッ酸処理の有無で引き剥がし界面が変化していた。さらに,処理後のPIでは色調変化や貯蔵弾性率の増加が確認され,PI自体の機械的物性が変化していることが明らかとなった。フッ酸処理による密着性向上効果は,弾性理論に基づいたPIの物性変化によるものと考えられた。