抄録
日本語学習の中でも,漢字習得は非漢字系学習者にとっては大きなハードルであり,習得には困難が伴うと指摘されている。本調査は,漢字学習を「難しい」と感じる学習者のモチベーションを下げることなく「楽しく」学習できるようにするための方策を探る研究として実施したものである。そして,ミャンマー,ベトナム,タイ,ラオスでの調査結果の比較に
より,学習者が記憶している漢字には,学習者の国籍・母文化に関わらず共通に覚えやすい漢字と,国籍・母文化や,個人的な興味関心で覚えている漢字があることがわかった。本稿は,四か国での調査データを示した上で,このような記憶タイプの異なる漢字ごとに適した学習方法を検討することが,効率の良い漢字学習につながることを提唱する。