2009 年 30 巻 4 号 p. 416-420
ラマン散乱分光法は試料中の分子の振動を検出するため,分子構造や環境,およびそれらの状態を分析する強力な手法として用いられてきた.近年,このラマン散乱を利用して試料内の分子を分析しながら観察するレーザー顕微鏡の開発が進んでおり,それにより分子を無標識でイメージングすることが試みられている.コヒーレントアンチストークスラマン散乱,表面増強ラマン散乱等,高感度なラマン散乱顕微鏡の開発もさかんに行われており,ラマン散乱を利用した生体計測・分析技術が今後さらに発展していくものと考えられる.