2019 年 40 巻 1 号 p. 87-92
前立腺癌に対する光線力学技術は,光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)と光線力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)に分けられる.PDTは,癌細胞へ特異的に取り込まれる光増感物質に対して治療を行うcellular-targeted photochemotherapyから,血管内の光増感物質に光を照射し,血流を遮断することで抗腫瘍効果を示すvascular-targeted photochemotherapyに移行しており,WST-11を用いた第III相試験で前立腺癌のfocal therapyとしての有効性が示され,臨床応用が期待されている.診断においては,5-アミノレブリン酸を用いた試みが行われているが,さらなる症例の蓄積が必要な段階である.本総説では,前立腺癌に対する光線力学技術について述べる.